ロケット打上げ時の音響加振に対する宇宙機設計解析·試験方法

摘要

宇宙機システム（全機構造）や宇宙機に搭載される太陽電池パドル等の大型構造物は，ロケット打上げ時の130dB以上の音響加振により，過酷な高周波ランダム振動環境に曝される．このランダム振動は，ロケット打上げ時のエンジン排気流と周辺空気の干渉により生じる音響や，ロケットが遷音速到達前後に発生する衝撃波等によるフェアリング構造への流体加振によるものであり，宇宙機システムからの構造伝達よりもフェアリング内部音響による直接的な音響負荷が支配的な加振源であると考えられている．宇宙機の大型構造物及び宇宙機の搭載機器は，音響負荷時に発生するランダム振動による損傷や，宇宙空間における機能性能に影響がない様，耐環境設計及び地上試験による設計検証が要求されている．本稿では，宇宙機開発における音響問題に主眼を置き，ロケット打上げ時に宇宙機が曝される音響環境，音響負荷時の宇宙機構造振動予測解析および地上音響試験について紹介する．