信号処理技術の制御システムへの適用：アクティブエンジンこもり音低減システム

摘要

従来のエンジンこもり音の低減を目的としたアクティブ騒音制御技術は演算負荷の高い畳み込み演算を多用するため，演算量が多く，DSP (Digital Signal Processor)など高価な演算プロセッサが必要となり，パッシブ対策技術に対してコストが高いという課題があった。 このため，自動車の振動騒音対策としての適用事例は非常に少なかった。 そこで筆者らは，エンジンこもり音が挟帯域騒音であることに着目し，演算量を大幅に削減するエンジンこもり音制御アルゴリズムを構築することで，適応信号処理を用いながらも汎用マイコンで従来と同等以上の制御性能を実現する制御技術を開発した。 これによりここで紹介するアクティブこもり音制御技術は，量産車に標準装備として適用することが可能となった。 新たに開発したアクティブこもり音制御システムは，V6可変シリンダシステムを適用したエンジンを搭載した車輌の気筒休止時に発生するこもり音の改善のために標準適用され，燃費と商品性の両立を高次元で実現した。