透磁率制御Fe系トロイダルコアの高温特性

摘要

近年，電気電子機器の高性能化に伴い，それらに付随する電源回路にも小型化が要求されている．これまでに我々は，電源回路出力部で使用されるチョークコイル用のコア材料に代表される，透磁率を数百程度に制御した軟磁性材料に関して研究を行ってきた．その結果，応力下熱処理を用い異方性を付与したFe系ナノ結晶薄帯を用い作製したトロイダルコアが，既存の透磁率制御コアの磁気特性を凌駕しつつ，小型化が可能であることを明らかとしてきた．今後，更に機器の小型化に伴う高密度実装が進むと，発熱·放熱が無視できない問題になると考えられる．この問題に対し我々の提案するコアは，磁気損失が十分低くまたキュリー温度が600°C程度と高いため，ある程度の高温下においても，動作可能であると考えられる．本稿では，室温で優れた磁気特性を示す透磁率制御Fe系トロイダルコアの実用的な温度帯域における高温特性を評価し，安定動作可能な温度帯域を検証した．