負の一軸結晶磁気異方性を有する金属磁性材料の磁気特性

摘要

近年、高周波デバイスへの応用を念頭にGHz帯域における強磁性体の動的磁気特性に関する多くの研究がなされている。 デバイスが高周波化すると共に適用させる磁性材料にはその強磁性共鳴周波数(f{sub}r)の増大が必須である。 強磁性薄膜のf{sub}rは、膜面垂直方向の異方性磁界((H{sub}k){sup}⊥)および膜面内の異方性磁界(H{sub}a)を用いて表すと①式となる。 f{sub}r＝γ(|(H{sub}k){sup}⊥·H{sub}a|){sup}(1/2)/2π （γ：ジャイロ磁気定数）。ここで、(H{sub}k){sup}⊥は反磁界であり飽和磁化(M{sub}s)を用いて、(H{sub}k){sup}⊥＝-4πM{sub}sとなる。 従来、磁性材料の高f{sub}r化はH{sub}aおよび4πM{sub}sの増大によりなされてきた。 H{sub}a増大のために、薄膜をスリットパターン化し形状異方性を付加する試みや、反強磁性－強磁性積層膜による交換磁気異方性を付加する試み、あるいはFeCo合金にSiO{sub}2を添加しH{sub}aを増大させる試み等多くの研究がなされている。 しかしながら、4πM{sub}sは高飽和磁化材料であるb.c.c.-FeCo合金の2.4Tが限界であり、さらに|(H{sub}k){sup}⊥|を増大させる研究はほとhど報告なされてない。