断熱型超伝導回路用多数決論理合成に関する研究

摘要

断熱型磁束量子パラメトロン(AQFP)回路は，CMOS回路に代わる，低電力ロジックとして提案された．AQFP回路では，多数決ゲート（majority gate略MAJ）が，2入力AND/ORゲートと同じ面積を持ちながら，より複雑な論理を実現することが可能である．したがって，AQFP回路を論理合成するためには，AND/ORより多数決ゲートの方が適している．本研究では，任意のAND/ORで構成されたネットリストを，MAJネットリストに変換する手法を提案する．さらに本提案手法は，AQFP回路を実現するために必要とされるバッファおよびスプリッタの挿入にも対応する．数値実験により，提案手法を用いることで，遅延とジョセフソン接合数をそれぞれ最大で60.00%と60.98%だけ低減できることが示された．