木材·プラスチック再生複合材の長期耐久性に関する研究（耐候性能およびその評価方法に関する検討）

摘要

木材·プラスチック再生複合材料（WPRCと呼ぶ）は，再生木材および再生プラスチックを原料として，混合·溶融したのちに成形した材料である。用途はデッキ材を初めとして住宅の内外装に広く利用されている。本材料は再生材料を40％以上使用していることから，環境負荷低減に大きく寄与する素材として，経済産業省の日本工業標準調査会における「環境JIS策定促進アクションプログラム」の適用を受け，2004年にJIS原案作成委員会が立ちあがった。その成果を受け，2006年4月に基本物性を規定した素材の規格である「JIS A5741（木材·プラスチック再生複合材）」が制定された。その後，耐久性に係わる検討の必要性が急浮上したため，長期耐久性調査研究委員会が他日本建材·住宅設備産業協会に設置された。本研究は光，水，熱等の劣化要因について素材の劣化度を検証すると伴に，長期間の屋外暴琴に対応する新しい複合劣化促進試験方法を開発したものである。実験においては促進試験（ウェザーメーターと温冷繰り返し処理を組み合わせた方法）および屋外暴露試験を併行して行い，両者の劣化度の相関性を明らかにした。本誌2009年4月号において屋外暴露試験9ヶ月までの中間報告1）を行ったが，今回，屋外暴露試験36ヶ月までの測定が終了したので報告する。本研究ではそのほかに耐水性，クリープ性，耐腐朽性等について行っており，これらの成果は2010年に制定されたJIS A1456（木材·プラスチック再生複合材の耐久性試験方法）に反映されている。