石炭焚きポイラーチエーブの高温腐食に及ぼす褐炭燃焼の影響

摘要

石炭焚きボイラーチューブの代表材料を用いて，実験炉での燃焼試験および人工合成灰浸漬試験を行い，ビクトリア褐炭単独あるいはビクトリア褐炭を歴青炭と混合させた場合のボイラーチューブのガス側高温腐食挙動を燃焼灰や生成ガス成分との関連で調査した結果，以下のことがわかった。 （1）乾燥褐炭（Loy Yang炭）単独の燃焼試験では，供試チューブの腐食程度は歴青炭単独に比べて大であり，チューブへの堆積灰および固着物は歴青炭に比べてアルカリ硫酸塩や塩化物が多く含まれ，溶融性が高いことがわかった。 （2）人工合成灰浸漬試験より，褐炭専焼時の燃焼灰中に多く含有されていたNa_2SO_4およびNaClは腐食を促進し，特にClによる腐食促進は高Na_2SO_4の場合に顕著であることがわかり，これらが乾燥褐炭の腐食性の主要因であることが推察された．（3）歴青炭と乾燥褐炭との重量比1：1の混炭の燃焼試験では，供試チューブの腐食程度は歴青炭単独燃焼時と同レベルであり，歴青炭との混合が乾燥褐炭の腐食性低減に有効であることが示唆された。このような腐食性低減は，乾燥褐炭の灰分が歴青炭のそれに比べて非常に少ないため，燃焼灰中のアルカリ硫酸塩や塩化物が薄められ，歴青炭単独燃焼に近い灰組成になったためと考えうれた。