非構造部材利用型制震工法を用いた鉄骨造建築物の地震応答性状

摘要

本研究では，実設計された鉄骨造建築物に対し，非構造部材利用型制震工法を採用した場合について，地震応答解析による検討を行った。 その結果，以下のことが言える。 1）平面プレ｝ムモデルによる解析によって，特定の地震波においては，本工法を採用することにより最大層間変形角仁構造躯体の損傷程度を減少させる効果があることが示された。また，本工法による大きな制意効果が期待できないような入力地震波も存在することが明らかになったが，そうした場合であっても問題となるような不具合は生じないことが確認された。 これより，非構造部材を構造的利用価値のある履歴型ダンパー部材として扱うことの可能性を示唆することができたふ2）本制震工法の力学特性を，簡単な力学モデルを用いることにより，構造躯体と制靂機構を明確に分離して定式化する手法を提案した。 3）その定式化を一般的な質点系モデルに組み込む論理を展開し,その質点系モデルを用いた地震応答解析を実施した。 その結果，それら工学的に単純化された扱いによっても，本制農工法の効果の把握が十分可能であり，実設計における準備計算段階での有効な検討ツールとして活用できることを示した。 4）制震効果に関じモエネルギ一成分の分析を実施し，それらが本制農工法の定量的評価に極めて有用であることを明らかにした。 すなわち，こうした分析を通して，建築物にとって最適な制靂工法の部位量の決定などが可能となることを示唆することができた。