1950年代ソ連における放射線影響研究

摘要

1950年代末，ソ連の科学者は，国連原子放射線影響科 学委員会（UNSCEAR)を主な舞台に，英米主導の国際 放射線防護委員会（ICRP)流の楽観的な放射線影響評 価にたいするきびしい批判を展開したものの，急速にト 一·ダウンし，やがて多くがCRPに同調するようにな る.ソヴィエト科学者のこの“変節”が「被曝防護の 体制は，核兵器と原子力発電を至宝とする支配層が，被 支配者にヒバクを強要するための社会的仕組みとなった (中川保雄）」とされる現状につながってゆく.