バイオマスの現状

摘要

バイオマスを取り巻く状況は，ここ数年の間に激変した．2001年の総合資源·エネルギー調査会での長期エネルギー需給見通しの中に，バイオマス発電·熱利用が盛り込まれたのを始めに，2002年の新エネルギー促進法の改正，バイオマスニッポン総合戦略の策定，2003年のRPS法の施行等である．これらの政策の立案·実施と平行して，バイオマスに関する技術開発や導入·普及の促進が行われてきた．現在は，バイオマスに対する急激な盛り上がりも落ち着いてきて，今後本当にバイオマスの利用を根付かせる方策を真剣に考えるときが来ている．バイオマスの利用は，欧米で積極的に行われており，日本は欧米に比べて数歩も遅れていたが，上記のような日本のバイオマスに対する取り組みは海外においても非常に注目されている．バイオマスに関する個々の技術の詳細等は既に多くの書籍，総説·解説等が出版·報告されており，本特集号でも触れられていると思うので，本稿では国際エネルギー機関(International Energy Agency, IEA)において実施されている国際エネルギー技術協力プログラムの中のバイオマスの利用に関する取り組みを紹介する．