建築における太陽電池の活用と展望

摘要

地球温暖化防止における建築分野での貢献が大きいことは，IPCC第4次評価報告書でも指摘されている．我が国では，民生部門（家庭＋業務）のエネルギー消費比率は34.3%（2012年度）を占め産業·運輸部門等の他部門に比較して増加が顕著である．石油危機の1973年以降，GDPは2.5倍に増加したにも関わらず，産業部門ではエネルギー消費量は2割近く減少し，業務部門は2.9倍，家庭部門は2.0倍に増加している．また，大都市での建築物のエネルギー消費は地域全体の60～80%にも達するとの報告もある（第32回PLEA会議／図1-1）．建築·住宅分野では，徹底的な省エネルギーおよび創エネルギー等の技術開発の推進により，ZEB（ゼロ·エネルギー·ビル）／ZEH（ゼロ·エネルギー·ハウス）の達成が可能な時代が訪れようとしている．東日本大震災および原子力発電所事故を受け計画停電を経験し，企業活動継続やエネルギー安全保障の観点からも，建築物の地域ポテンシャルを活かしたエネルギー自給·自立の必要性が重要視されてきた．