ヒートパイプと組み合わせた太陽熱多重効用型蒸留器の特性（第3報：蒸留器の設計および操作条件）

摘要

太陽熱を利用した海水淡水化蒸留器は、淡水資源の乏しい地域における小型分散型の淡水供給手段に適している。 これまでに研究されてきた太陽熱蒸留器の中でも、平行平板構造の多重効用型蒸留器の性能は高く、多くの研究が行われてきた。この恭留器は、ウイックを貼り付けた仕切り板を一定の間隔で平行に複数枚配置した構造をしており、水蒸気が凝縮する際に放出する凝縮潜熱を再利用し、蒸発·凝縮の過程を複数回繰り返すことにより、蒸留量を増加させることができる。 津村ら、Toyamaら、Ohshiroらは、上方加熱式平行平板構造の多重効用型蒸留器において、仕切り板と仕切り板の間隔、すなわち、蒸発·凝縮過程における水蒸気の拡散距離が蒸留性能におよばす影響が非常に大きく、この間隔を小さくすることにより蒸留量か飛躍的に増加ることを明らかにした。 しかし、上方加熱式の蒸留器は、仕切り板を水平に近い角度で斜めに傾け、蒸発·凝縮の過程を上から下向きに繰り返す構造をしているため、自重による仕切り板のたわみが大きくなり、仕切り板と仕切り板が接触しやすく、また、海水を含hだウイックが凝縮面の上方に位置するため、海水が凝縮水に混入しやすいという欠点があった。