ボイラー技術の史的展開〔第30回〕9.自然循環から強制循環，貫流ボイラーへの展開（その6)

摘要

強制流動については，循環力確保と流れの安定性の点からは，当然ながら自然循環をポンプによってアシストする強制循環が考えられるし，強制貫流方式も考えられる。強制貫流では伝熱管が長くなり，ポンプ動力は増大する。また一方で保有水量は少なくなるため熱的応答が早く，立上げが早くなる，あるいは動的応答が速くなる。その一方で，ドラムおよび保有水という大きな熱容量を欠くことから，負荷変動や燃焼外乱などに対して敏感に反応するため，要求された蒸気圧力，温度，流量などの条件を安定的に確保するためには「制御」が不可欠になる。このような貫流ボイラーには後述するように，1922年のMark BensonおよびそののちのSiemens-Schuckert社によるBenson ボイラー，1933年のSulzer BrothersによるMonotubeボイラー，さらには1935年のGE社，Babcock & Wilcox社，Bailey Meter社が共同開発したSteamotiveボイラー,後に述ベるソ連のRamzinボイラーが挙げられる。