ボイラー技術の史的展開〔第35回〕: 9.自然循環から強制循環，貫流ボイラーへの展開（その11）

摘要

我が国において，盛hに超臨界圧流体の伝熱研究が行われ始めたのは1960年代からで，その成果の一端として，例えば九州大学グループでは山縣清ら，また東京大学グループでは柘植綾夫らなどの成果が報告されている。超臨界圧領域の熱伝達に関する包括的な解説は，例えば西川兼康らに詳しい。さらには先にあげたW.B.Hallらにも詳しいし，また伊藤猛宏のレビューも全体像をつかむには好適である。比較的最近ではIgor I. Pioroがレビューを行っている。具体的にボイラー設計に直接的に間連した研究としては，例えば河村友槌ら，岩淵牧男らがある。これらは臨界圧近傍領域の伝熱劣化対応としてライフル管の使用が非常に有効であることを実証したもので，特に前者には伝熱研究がどのような形態で行われ，それが実用ボイラー開発にどのようにつながったかが示されていて，非常に興味深い論文であるが，詳細に伝熱研究に立ち入ることは本稿の目的ではないので，議論はこの程度でとどめておく。