全輪駆動車(4WD)用駆動力伝達装置におけるトライボロジー技術

摘要

オンデマンド式は、エンジンのトルクをまず主動輪（前輪駆動車ベースの4WD であれば前輪）に伝え、必要に応じて従動輪（もう一方の車軸）へも駆動力を伝えるシステムである。従動輪へのトルク伝達は差動感応式、電子制御式などのトルク伝達デバイスにより自動的に行われるのが一般的である。本システムは、従動輪への駆動力を必要最低限に抑えることで4WDシステムを軽量化するのに適している。図3に示す電子制御4WDカップリングにおいては、日常的な走行において後輪への駆動力の配分を最適化することにより、特にリヤ駆動系の軽量化を実現している。油圧ポンプを有するフルタイム電子制御4WDシステムと比較するとシステム全体として約30kgの重量軽減を達成しており、上述のシステム効率も考慮すると燃費は約5％と飛躍的に向上する。ミニバンやSUV (Sport Utility Vehicle)などに広く用いられている。本稿では、特にフルタイム式のトルセンタイプCおよび、オンデマンド式の電子制御カップリングについて、その信頼性に大きく影響を及ぼしているトライボロジー技術について解説する。