今年はF. G. Cottrellが最初に電気集塵装置を工業的に実用化した年より丁度100年になることから,2007年度第1回静電気学会研究会でも特集講演として電気集塵技術を取り上げている.そこでは「工業用電気集塵技術の歴史と進歩」と題して,火力発電所ボイラ排ガス処理などの電力用の他,工業用電気集塵装置について技術展望を行っている.次に「道路用電気集塵技術とその応用」として道路トンネル換気用電気集塵設備の実例が紹介されている.また現在主流の切削油は水溶性切削油であるが,機械加工時にこれがオイルミストとして空中に飛散するので作業環境改善のため,最近では工作機械に直結して電気集塵装置が設置されている.これら「工作機械用小型電気集塵装置」について,課題·対応例などの報告がされている.最後に「電気集塵に関する新しい技術」が紹介された.これらの詳細については予稿集を参照されたい.このような液体粒子·固体粒子を含む高濃度エアロゾルに対し,比較的低濃度の,主として一般大気塵やタバコ煙を対象とした2段荷電式電気集塵装置がある.当初はアルミ平行平板形状の集塵部であったが,積層プラスチックフィルムを用いた構造の電極が登場し,さらに電極全体を射出成型によって製造する為の新しい材料·構造が次々に開発され現在もなお進展している.新しい技術を開発する場合においても,その基礎になっている物理的概念が明確になっていることは,極めて重要である.今回は基本的性能として2段式集塵装置の集塵効率を中心に検討し解説を行う.
展开▼