LPVシステムに対する最適出力レギュレーションによるロックアップクラッチのスリップ回転速度制御

摘要

本稿では文献3），4）で示されているLPVシステム表現された制御対象に対して最適出力レギュレーション問題を適用したサーボ系設計手法を提案する．最適出力レギュレーション問題は，その評価関数に目標スリップ回転速度と実スリップ回転速度との誤差情報およびその微分を用いた最適制御系であり，目標値追従性のみならず乗り心地に影響を与える過渡特性を直接考慮することができる．また，本手法をLPVシステムへ適用することでパラメータ変動の情報を積極的に用いると同時に複雑な計算を必要としない制御器を構成することができる．なお一般的なコンピュータに比べ，車載用ECUはコスト面で優れている反面，計算能力や記憶領域などの性能が高くなく，簡易な制御器のほうが実装に適していることを付け加えておく．得られた制御器をシミュレーションを用いて従来のH_∞制御器と比較することで提案手法の有効性を示し，また，実機試験を行なうことで提案手法が車載用ECU程度の計算性能でも実装が可能であることを示す．