対数線形化末梢血管粘弾性インデックスの提案と交感神経遮断術への応用

摘要

そこで，坂根らは末梢血管壁の力学特性を機械インピーダンスの剛性，粘性，慣性を用いて表現するモデルを提案し，胸腔鏡下交感神経遮断術に対する末梢血管の機械インピーダンスモニタリングを行なった．しかし，血管内圧と血管径の関係は非線形特性を示すことが実験的に確認されており，血管内圧と血管径の関係を線形と仮定している坂根らのモデルでは，推定したインピーダンスパラメータが血管内圧変動に依存して変化するため，胸腔鏡下交感神経遮断術の交感神経活動変化のみを評価することが困難であるという問題点が残されていた．そこで，本研究では胸腔鏡下交感神経遮断術を対象とし，末梢血管系の血管内圧と血管径の非線形特性を考慮した血管力学近似モデルを導出することにより，対数線形化末梢血管粘弾性インデックスを提案する．本論文では，提案するインデックスについて説明するとともに，提案インデックスの妥当性検証実験とその結果について報告する．