高周波CSMT装置を用いたニアブイールド領域での地下壕探査

摘要

鹿児島県高山町で，測量によりその位置が正確にわかっている旧日本革防空壕（深度約15m，土被比約6．2）の，同末吉町では民間によって掘削された地下壕（深度約2m）の探査を行った。調査には，1．4～97kHzの電波を送-受信できる高周波CSMT装置（HFCSMT）を用いた。 両探査とも送信は水平ループアンテナを用いた。 高山町では，現場地形，送信能力の制約から，送一受信点間距離が十分でなく，全てのデータがニアフィールド領域であった。 得られたデータは，見掛比抵抗および位相共に，地下壕部に対応する極めて大きな変化を示すものであった。一方，模擬地下壕（深度2．3mに埋設した直径1．0mの貯水タンク）を用いた測定では，ファーフィールドでは，高比抵抗である地下壕に対応する見掛比抵抗変化はそれほど大きくなく，このような変化はこアフィールド領域での測定により生じたと考えられる。