久しぶりの300ミリシリコンウエハー新規参入が、有力大手の大型設備投資再開への決断を促すか？価格水準の是正が投資のカギに

摘要

わが国のシリコンウエハーの生産は、2010年をピークに年産300万平方メートルを割り込む低迷が続いてきたが、2014年には300万平方メートルの水準を回復する一方、需給がタイト化するとともに、300ミリウエハーの供給不足が表面化、シェア上位メーカーで「ボトルネック対策」による実質的な“増産?に入る動きが具体化している。増設は2015年に入ってさらに拡大し、国内外の下位メーカーにも広がっているものの、今後、次第にボトルネックの余地が乏しくなり、「投資効率」が低下し始めてくることは必至だが、さりとて300ミリでの本格的な設備投資に踏み切れないでいる。それは、「次世代の450ミリ化を念頭に置けば、300ミリへの投資判断は遽巡せざるをえないからだが、目前の需要に応えなければ市場を失いかねない」ことの危機感は強い。300ミリへの本格投資は、「投資額を加味すると、販売価格が現在の2倍に引き上げられないと、固定費すらカバーできないので本格的に打って出にくい」（大手ウエハーメーカー）というのが、各社の本音である。そこへ半導体の国産化を急ぐ中国で初の300ミリシリコンウエハーの具体的な量産化の動きが降って湧いたことで、俄かに慌ただしさを増す気配が強まってきそうだー。