Moli Energyの物語②--Mn系リチウムイオン電池開発の歩み

摘要

成田からバンクーバーまでのフライトは約8時間。朝10時過ぎに降り立ったバンクーバー空港上空は抜けるような青空だった。清列とも言える4月初めのやや冷たいバンクーバーの空気が、飲みすぎで寝不足の頭を目覚めさせてくれた。ウッディーな、観光地にしてはやや古めかしいターミナルの出口には、知人の出迎えらしい大勢の人々の姿があり、その様子は一見香港風に思えた。後で知ったことだが、香港の中国返還を間近に控えた当時、グレーター·バンクーバーの人口約2百万人のうち、およそ3割が香港系中国人で占められていると言われるほど多数が、バンクーバー周辺に生活の拠点を構え、高級住宅地の多くが香港人に買い占められている、という言わばバブルの状況下にあった。