（独）産業技術総合研究所環境管理技術研究部門未規制物質研究グループ有機フッ素化合物の環境分析、環境動態解明、分解·無害化反応の開発

摘要

化学物質の生態系や人間への被害を未然に防止するためには、安全性が懸念される物質の環境リスクを適切に判断し、リスクの高いものから対策を講じる必要がある。 有機フッ素化合物は高機能の界面活性剤や表面処理剤、乳化剤等に使われてきたが、有用性が高い反面、一部について環境残留性や生体蓄積性が明らかとなったため、製造や使用に関する規制が国際的に検討·開始されつつある。 そのような物質の代表がペルフルオロカルボン酸類（C_nF_(2n＋1)COOH、n：1以上の整数、PFCA類）の1種であるペルフルオロオクタン酸（C_7F_15COOH、PFOA）や、ペルフルオロアルキルスルホン酸類（C_nF_(2n＋1)SO_3H、n：1以上の整数、PFAS類）の1種であるペルフルオロオクタンスルホン醸（C_8F_(17)SO_3H、PFOS、PFOSはPerfluorooctanesulfonateの略なので厳密にはペルフルオロオクタンスルホン酸の陰イオン、すなわちC_8F_(17)SO_3~-を意味する）、さらにはそれらの塩類や関連物質である。 我々はこのような有機フッ素化合物や、生体リスク評価が開始されつつある関連物質ならびに代替物質に関し、環境対策の指針の構築に必要なデータを提供するために、①環境分析方法の開発および標準化②室内実験および計算科学実験による環境動態の解明③分解·無害化反応の開発を行っている。 様々な領域の研究者が集まった分野横断型の構成が本グループの大きな特徴である。