圧力スイング造粒によるドライパウダー吸入剤の粒子設計

摘要

近年，薬剤をエアロゾルとして吸入し，肺内へ直接投与する経肺投与型製剤いわゆる"吸入剤"が注目されている。 吸入剤は，おもに気管支喘息などの呼吸器疾患の吸入療法に利用されており，患部へ局所的に薬物を投与できるため，⑴素早い作用が期待でき，⑵経口投与に比べて投与量が少なく，⑶全身性の副作用を軽減できるなどの長所をもつ。 とくに，肺胞部は小腸のつぎに広い表面積をもち，かつ上皮細胞と毛細血管とのクリアランスが約1μmと狭いため薬物の吸収性に優れること，経肺投与された薬物の多くは肝臓での代謝を回避できることから，インスリンなどの高分子薬物や注射でしか投与できなかった薬物など，全身作用を目的とした薬物の投与経路としても期待されており，吸入剤の開発はますます活発化している。