選鉱技術と微生物処理を用いた汚染土壌の浄化

摘要

土壌は地球を構成するもっとも基本的な物質であり，人間生活だけでなく全ての生物や自然環境にとって必要不可欠な存在である。 いつも我々の足下にある土壌であるが，社会活動の中で知らず知らずの間にその表層や内部を汚していき，過去にさかのぼれば公害（鉱害）に代表されるような深刻な汚染状況を招いてきた。 古くは，明治から昭和にかけて発生した足尾銅山（主に栃木県）の鉱毒汚染，カドミウムによって流域河川および土壌を汚染したイタイイタイ病（富山，新潟両県中心）が有名であり，これらは我が国の環境問題に重い歴史を残している。 その他にも，近年では，半導体·電子機器工場，クリーニング工場の跡地で，洗浄剤として使われていたトリクロロエチレン（TCE，CHCl＝CCl_2）やテトラクロロエチレン（PCE，CCl_2＝CCl_2）のような有機塩素化合物による汚染事例が発見されたり，極近年では焼却場周辺でダイオキシンに汚染された土壌が発見されるなど，“土壌汚染”という言葉が社会的な問題に発展してきた。