茶本草－古典に学ぶ茶の効用－13

摘要

本草書と言えば、誰もがまず『本草綱目』を挙げると思います。明時代の市井の医師、李時珍が三十年の歳月をかけて独力で完成した、五十二巻図二巻（二百十八万余字）に及ぶ最大の本草書です。 涸^類本草』に比べると古文献の引用には誤謬があり、憶断偏見も至るところに見られます。 そのため考証学者の評は厳しく、江戸末期の本草学者、森立之は「網目の杜撰妄改、拠るに足らざる」としています。 しかし従来の雑然とした内容を自己の見識に基づいて整理するためには若干の改編も免れ難く、むしろ『本草綱目』の存在価値は、本草の徹底的な実用化を目指した点と、読み物としての面白さにありました。 そこで刊行されるやたちまち中国各地に広まり重刊され、海外でも翻刻、訳されて、近年に至るまで刊行され続ける世界的な名著となったのです。