携帯電話の画像処理技術

摘要

携帯電話のビジュアル機能は幅広いユーザー層に受け入れられるとともに，高品質化への要求は，AV機器に対するそれと比肩できるほどに高まりつつある。 一方，AV機器と比べた場合，携帯電話には電話特有の以下の二つの特性を持っている。 第1は，小型·省電力を達成するため，カメラモジュール，LCD (Liquid Crystal Display)表示デバイスの性能制約があることで，第2に，高画質で画像保存するための蓄積モードと，TV電話に代表される伝送路を有効にかつ低遅延で画像伝送するための通信モードの異なる2モードを両立させる必要があることである。 本稿では，三菱電機の携帯電話に搭載した以下の画像処理機能について述べる。 (1) 符号化，復号／再生に対しては，①複数種類の動画サイズ，通信モード／蓄積モードに対応した動画符号化技術，②静止画を伝送サイズに無駄なく圧縮するためのJPEG (Joint Photographic Experts Group)ファイルサイズ制御技術，③動画と音声の同期再生技術である。 (2) 撮影，表示に対しては，④カメラ撮影時の手振れを軽減するための手振れ感知技術，⑤カメラ撮影後の静止画像をより見やすくする階調特性改善技術，⑥LCDの色域特性を向上するためのNCM（ナチュラルカラーマトリックス）技術である。