3G無線ネットワークの高度化に向けた標準化動向及び3Gパテントプラットフォーム動向

摘要

第三世代(3G)携帯電話システムの標準化機関である3GPP (3rd Generation Partnership Project)では，現在，伝送速度·伝送容量の大幅な拡大とAll IP (Internet Protocol)化を始めとするコアネットワークの高度化への対応などを目的として，無線ネットワークの中長期的な発展仕様LTE (Long Term Evolution)の策定が進められている。 LTEでは，最大伝送速度として下り100Mbps／上り50Mbps，周波数利用効率としてリリース6仕様の2～4倍を目標としている。これらの目標を実現するために，物理層では，無線アクセス方式として下りOFDMA／上りSC-FDMAが採用され，同時に，MIMO (Multiple Input Multiple Output)空間多重による並列伝送や周波数選択性の伝送路品質を考慮したリソーススケジューリングなどの技術が導入される。一方，標準規格に基づく第三世代携帯電話システムでは，各社製品の規格準拠と多数の規格必須特許保護の調和が必要となるが，その解決策の一つとして，パテントプール組織Platform WCDMAが設立された。 ライセンサーは国内外の主要なメーカー，オペレーターからなり，ライセンス可能特許は日々増加している。 三菱電機は，IMT-2000標準化活動の初期段階から参画しており，LTEにおいても関連技術の研究開発を行うとともに3GPP標準化活動へ組織的に取り組み，国際標準仕様の開発に具体的な貢献を行っている。 また，Platform WCDMAの設立と運用にも主導的役割を果たしている。本稿では，3GPP LTE標準化経緯とLTE無線アクセス方式概要，及びPlatform WCDMAの動向について述べる。