単精度浮動小数点演算器内蔵マイクロプロセッサ'M32R-FPU'

摘要

組み込み用途に最適なアーキテクチャを持つ単精度浮動小数点演算器(FPU)内蔵マイクロプロセッサ"M32R-FPU" を開発した。 FPU部分の特長は次のとおりである。 （1）IEEE-754規格完全準拠IEEE-754で規定された五つの例外と四つの丸めモードをすべてサポートしている。 これにより，プログラムの移植性が高まるだけではなく，デバッグ容易性，精度の向上にも効果がある。（2）汎用レジスタとFPU専用レジスタの共用FPU専用のレジスタを設けるのに比べて，レジスタセット間の転送のオーバーヘッドを削減することができる。 また，M32Rアーキテクチャが持つ命令すべてを浮動小数点データに対して使用できるメリットもある。 （3）積和，積差演算命令のサポートFFT（高速フーリエ変換）や行列演算などで多用される積和，積差演算命令を実装した。 これらの命令は最短1サイクルで実行可能である。 以上の特長に加え，M32R-FPUでは，ビット操作命令など5命令の拡張を行っている。 レジスタの共用化に加え，バレルシフタや積和演算器をCPU部分と共用化することにより，従来のM32Rコアに比べ，面積比1.79倍（トランジスタ数比1.64倍）という少ない面積で上記機能を実現することができた。 M32R-FPUは，M32180F8VFPに内蔵され，80MHzで動作している。