種苗生産水槽へ添加した微細藻渠のワムシn－3高度不飽和脂肪酸含量に及ぼす影響

摘要

エイコサペンタエン酸（以下EPA）やドコサヘキサエン酸（以下DHA）等のn－3系列の高度不飽和脂肪酸（以下n－3HUfA）は，海産仔稚魚が必須脂肪酸として要求する重要な栄養成分である（竹内1991）。このため，多くの種苗生産機関では，初期餌料である海産ワムシ類に“栄養強化”（Watanabe et al．1983）によりn－3HUFAを取り込ませてから，仔魚飼育槽へ給餌している。一方，多くの海産魚の仔魚飼育では微細藻類の飼育水への添加が一般的に行われているが，仔魚飼育槽に給餌した海産ワムシ類のn－3HUm含量が添加した微細藻類によって変化することが100J以下の小型水槽の実験で示されており（Reitan et al．1993；吉松ら1995），量産規模の仔魚飼育槽においても同様な現象　が起こっている可能性が高い。そこで本研究では，量産規　模の種苗生産水槽において添加微細藻類が海産ワムシ類の　n－3HUFA含量に及ぼす影響を調査するために，25烏J水槽を　用い，3種類の微細藻類をそれぞれ別々に添加して，海産ワ　ムシ類のn－3HUm含量の経時的な変化を調べた。