循環式養殖の技術，産業の現状と未来

摘要

循環式養殖は施設養殖の1つであり，陸上に設 置した養殖施設におレゝて水を循環させて処理を行 い，飼育される水棲生物に必要な水環境を維持す る養殖形態である（第1図)。循環式養殖の基盤となる水処理技術は1960年代から研究が始められ， 水族館で使われてレゝる循環濾過装置が養殖用に 改良されたものであり，一般下水処理の技術が多 く取り込まれている。同時に環境への汚濁物質の 排出を防止するため，廃水を肥料として用いるこ とで付加価値のある植物を栽培する物質循環型の 養殖も試みられており，産業的な生産も行われて いる。また，施設養殖を行うことで飼育水の成分 を自由に調整し，光環境を自由に制御できるとい う特徴を持つ。飼育水成分や光，給餌の最適化を 行うことで成長促進を図り，繁殖制御も行うこと ができる。近年，産業的な循環式養殖が世界各国 で行われるようになつてきており，大規模化が進 められている。そこで今回は循環式養殖の技術， 産業の現状と未来について解説する。