宝川森林理水試験地の初沢流域における毎木調査

摘要

宝川森林理水試験地は、森林伐採が流出に与える影響を試験する目的で1937年に利根川腺流域に設置され、今日まで観測が継続されている。 この間、実際に伐採と植栽とが行われ、森林施業と流出との関係が検討されてきた。 毎木調査ほ伐採の前には行われたが、伐採後の森林成長の過程においては行われていない。 そこで、宝川森林理水試験地の中でも基準流域とされている初沢流域内の4プロットにおいて、毎木調査と葉面積指数（LAI）の測定とを行った。 これらの4プロットについて、後年に再調査が可能なように基準点からの位置を測量した。 今回の毎木調査から算出されたスギと広葉樹二次林の混交林の材積は、1935年の天然林の毎木調査から算出された材積に近い値となった。 また、今回と1935年とにおいて、ともに材積は標高の増加とともに減少し、その割合は両者ともほぼ同じであった。