ニセマツノザィセンチユウ，および弱病原力マツ ノザィセンチユウの衰弱した宿主に対する病原力

摘要

マツ材線虫病は，一部の寒冷地域を除いて，日本 国内のほぼ全てのマツ林で重大な枯死被害をもたらしている。また，本病は80年代以降，東アジア各国 へ，1999年にはヨーロッパ（ポルトガル）へ侵入し， 現在はスペインにまでその分布を拡大し，世界的に も重要な病害として，警戒されている（Abelleira et al. 2011)oこの病原体であるマツノザィセンチユウ〔Bursaphe-lenchus xylophilus)は北ァメリカ原産，すなわち， 被害地域にとっては侵入種である。この線虫がもた らす激甚な被害は，外来種と，それに対して抵抗性 のない在来宿主の組み合わせで起こる現象であり， 他の重要森林病害にも多く見られる。たとえば，ァ ジァ産の樹木两原鹵Ophiostoma ulmiがョ 一口ッ パ，および北米において感受性ニレ類の大量枯損を 引き起こした二レ立枯病などにも知られる（Brasier 1990).