沖縄本島の樹木病害と病原微生物 －1988，1990，1994，1995年の調査のまとめ－

摘要

1988年12月，著者の一人小林は，琉球大学森林科学科の依頼による特別講義を行うため，中頭郡西原町にある琉球大学農学部を訪れた。お世話を戴いた大宜見朝栄教授との話の中で，私が屋久島、奄美大島、石垣島など南西諸島の島々の樹木病害と病原菌の調査をしていることを知っておられ，沖縄本島についても是非調査してリストを作ってほしいし，新設の琉球大学標本館に標本を納めてほしい，との要望があった。案内はいつでもするからとのご好意に甘えて1990年，1994年には先生自らの運転でそれぞれ本島を南端から北端まで採集させて戴き，1995年には大宜見先生の研究室に新しく入った亀山統一氏の案内で補足的な調査を行った。この間の調査の結果については予報的に2回日本林学会において報告したが（小林ら，1991；1995），全試料の検査は終わったものの種が未同定のものもまだ多く残されている。しかし調査のきっかけを作って下さり，ご緒に採集させて戴いた大宜見先生が2003年にお亡くなりになってからもすでに5年を過ぎ，このまま全体像を報告しないままになっては申し訳ないので，未完ではあるが現在までに同定出来た結果について報告させて戴き，先生への追悼としたい。