出穂期の窒素追肥が硬質コムギ品種ゆきちからの中華麵適性に及ぼす影響

摘要

タンパク質含有率の増加を目的とした出穂期の窒素追肥が，硬質コムギ品種ゆきちからの中華麵適性に及ぼす影響を検討した.出穂期における窒素追肥量の増加に比例してタンパク質含有率は高くなり，SDSセディメンテ一シ ヨン沈降量および湿グルテン含量は増加して生地物性は強くなつた.一方，グルテンインデックスは低下したが，中 華麵官能検査におけるゆであげ7分後の食感の評点は有意に高くなつた.したがって，出穂期の窒素追肥によりグル テンインデックスは低下してダルテンの質は変ィ匕するカ气生地物性が強くなることで中華麵のゆでのびを抑えられる ことが明らかとなった.また，福島県でゆきちからを喜多方ラーメン用として栽培する際に目標となるタンパク質含 有率を明らかにするために，製粉工場でゆきちから100%で製造されたタンパク質含有率が9.1，9.8および10.8 %の中華麵用粉を用いて中華麵官能検査を行い，タンパク質含有率と中華麵適性との関係を検討した.外国産硬質コ ムギを原料に用いたタンパク質含有率が11.8%の中華麵専用粉と比べて，ゆきちからの色相およびホシの程度の評 点は10. 896でも有意に高かった.また，ゆであげ7分後の食感の評点はいずれのタンパク質含有率においても有意 差は認められなかったが，総合評価の評点は9. 8%および10. 8%で有意に高かった.したがって，福島県で喜多方 ラ一メン用にゆきちからを栽培する際には，出穂期の窒素追肥により，タンパク質含有率を粉で10.0-11.0%程度 にすることが望ましいと考えられた.