家畜糞堆肥の窒素利用性評価へのデクージェント分析の適用

摘要

家畜糞堆肥の窒素の利用性評価を行うためにデクージェント分析を適用し，デクージェント分画における窒素含有率および C／N 比と窒素無機化率の関係を検討した．石川県内の畜産農家，堆肥センターで生産された家畜糞堆肥 19 点および新鮮糞3点について酸性デクージ工ント繊維（ADF），中性デクージェント繊維（NDF），中性デクージェントリグニン（NDL），細胞内容物質（OCC：有機物－NDF）の各分画について窒素含有率およびC／N 比を調べた．新鮮糞，堆肥ともにOCC中に含まれる窒素がNDL中，NDF－NDL中よりも多かった．鶏糞中の尿酸のほとhどが ADF として定量されていた．堆肥化によってNDL中の窒素の割合が高くなった．新鮮糞では，乳牛糞と豚糞はNDF 中窒素＞ADF中窒素であるが，鶏糞はADF中窒素＞NDF中窒素であった．大部分の堆肥はADF 中窒素＞NDF 中窒素であった．牛糞堆肥および副資材の多い豚糞堆肥.鶏糞堆肥では，AD 処理による窒素除去が ND 処理に比べ劣っていた．C／N比が高い堆肥でもOCC中C／N比は低く，ほとhどが　 10 以下であった．逆にNDF中C／N 比が80 近い堆肥もあり，このことから堆肥の全体のC／N 比はNDF ＊C測地に大きく影響されることがわかった．窒素無機化については，多くの牛糞堆肥は培養初期に一旦窒素を無機経じながら，その後有機化 した．競走馬糞堆肥は培養期間中ほとhど窒素無機化率に変経がなかった．薫熱葦豚糞.鶏糞堆肥は7 日間の培養で一旦窒素が有機化し，その後無機化した．副資材が多く登ま総　 腐熱が進hだ豚糞.鶏糞堆肥は7，14 日までの培養期間中に窒素は無機化するが，その後有機化した．28，60 日の培養期間における有機態窒素と無機化率の関係について，NDF 中C／N 比の相関ほ高いが　 OCC 中 C/N比の相関は低かった．以上の結果から，ND 処理による分画は明確に窒素無機化に関ずる性質を区分しており，培養初期には OCC 中窒素が，それ以降は NDF 中窒素が無機化または有機化してし、ると煮えられた．