モデルによる土壌，農耕地，流域における窒素動態の理解: 2．畑圃場における包括的窒素動態モデルの開発と利用のための基礎

摘要

硝酸性窒素による地下水汚染は依然として深刻な状況にあり，畑地における窒素負荷削減対策の強化が求められている．各都道府県でほ施肥基準の見直しが進み，農林水産省においてもェコファーマー認定，農地、水、環境保全向上対策，特別栽培農産物表示など各種制度によって減化学肥料栽培を支援している．また，2006年12月にほ有機農業推進法が施行され，環境保全に配慮した肥培管理技術の確立がますます重要となっている．しかし一方で，環境保全技術の導入にともなう硝酸性窒素溶脱負荷の削減効果は定量的に十分評価されておらず，それが対策の遅れに繋がっていると考えられる．その打開策として，様々な肥培管理が窒素溶脱に及ぼす影響を評価できる圃場レベルでの包括的窒素動態モデルの活用が有望視されている．