土壌診断のための水田土壌の合理的サンプリング法の検討 －土壌のサンプリング頻度とデータの信頼性との関係－

摘要

土壌特性値の評価は，農耕地における土壌の理解およびその道切な管理のために不可欠である．これは，土壌肥沃度の診断という農学的な面のみならず，土壌の健全性や安全性の評価という環境科学的な面や，あるいは物質循環の評価という生態学的な面からも自明であろう．さて，土壌診断のためには土壌サンプリングが通常行われるが，圃場の土壌全体を常に調べることは不可能であり，土壌の不均一性や変動性を理解した上で，空間的また時間的に限られた範囲（support size）のみを調べて全体を予測することが必要となる．すなわち，空間的、時間的変動を考慮した土壌の理解こそが，土壌における現象、プロセスの解明あるいは土壌の実際の管理にとって重要なのである．