黒ポク土における湛水培養期間中の 安定セシゥムの各種塩溶液による抽出性の変化

摘要

東京電力福島第一原子力発電所の事故に由来する放射性核種のうちセシウム（Cs)の挙動は，農作物、食品，人 体への影響などから多くの注目を集めてきた.チェルノブ ィリ等の海外事例では水稲は主要作物でなかったことから 海外での研究事例は多くないが，コメは我が国の主食であ るとともに水田は被害地域に広く分布することから，放射 性Csの湛水土壌における存在形態や挙動の解明は重要な 課題である.Csは存在形態により土壌中での動きやすさが異なり， これらは抽出性の違いにより評価できるとされる（山口ら， 2015). 土壤沈着後のCsの動態解析のために放射性ない し安定Csの添加試験が行われてきた（例えば，Tensho etal.,1961；Takedaefa/.,2013). Csの添加試験では agingにより抽出率は低下する（Roig et al., 2007).湛水 条件においても，酢酸ァンモニゥム抽出放射性Csは時間 の経過に伴い低下することが報告されている（Tensho W al., 1961；津村ら，1984).