土壌塩分濃度の迅速調査法 1.電磁探査法による土壌電気伝導度の迅速測定法

摘要

東日本大震災では多くの農地が津波による浸水被害を受 けた.そのような農地では，早期に営農を再開するため震災直後から除塩作業が各地で行われた（遊佐ら，2011；佐 藤-菅原，2013).除塩の必要性および効果を確認するた めには，圃場の塩分濃度を把握する必要がある.塩分濃 度の測定は概ね10haにっき1地点（農林水産省農村振興 局，2011)という目安があるが，圃場の利用状況ゃ圃場の透水性により除塩効果が個々の圃場毎に大きく異なると想 定される.また，地表面のみならず，下層土の塩分状況の 情報も必要になる.このような観点から，現地で容易に塩 分濃度を把握する方法が求められる.そこで従来から行わ れている圃場内のある1地点での計測にとどまらず，農 地を広域的に調査することを想定して，農地の水平方向お よび鉛直方向の塩分濃度を容易に把握する方法として，電 磁探査法に注目した.津波被災後の農地における広域的な 影響を把握した事例としては，2004年12月のィンド洋ス マトラ沖地震による津波被害における調査の報告がある. McLeodet al.(2010)は電磁探査装置EM38 (Geonics社） により被災農地の塩分を測定し，鉛直方向の塩分移動に関 する考察から，水田の耕盤の透水性が除塩効果に影響して いる二とを確認し，電磁探査法により迅速な塩分計測を行 えることを報告した.