沿岸性重要魚介類の初期生態の解明と栽培漁業への応用

摘要

沿岸魚類の初期生活史については多くの研究成果が報告されている。しかし，そのほとhどは定性的な記述であり，資源変動様式や成育場の生産力の利用に関する定量的な研究はごく限られている。 栽培漁業は生息場の生産力を有効利用することを目指して，我が国が世界に先駆けて推進してきた。 しかし，種苗生産技術開発が先行し，対象種の生態とそれを取りまく環境や生物群集構造の把握なしに放流が実施される魚種も多く，期待された放流効果が得られない原因となってきた。そこで，多様な分野の共同研究者とともに，沿岸性重要魚介類の初期生態的諸過程と成育場の利用様式を解明し，それを基礎に栽培漁業への展開に取り組hできた。 木研究はエゾアワビなどを含む重要魚介類について実施したが，本稿では，とくに異体類に焦点を当てて研究成果の概要を紹介し今後を展望する。