ロ蹄疫防疫に関するFAO/OIE世界会議に出席して (FAO/OIE Global Conference on Foot and Mouth Disease Control)

摘要

ロ蹄疫は，畜産に大きな被害と 影響を与える感染症として，いず れの国でも，また国際的にもいろ いろな防疫対策が講じられてき た.しかしながら，このような防 疫努力にかかわらず，ロ蹄疫は， その特性（①発生した場合，幼齢畜が死に至ることはあるが，rkilling disease (発生が あった場合に致死率，死亡率ともにきわめて高い疾病)」 というところまではなく，症状があまり目に見えないと ころもあり，被害が過小評価されていること，②ウィル スは7つの血清型に分類され，抗原性が多様性に富hでいること，③ワクチンは②の事情から抗原性にマツチし たものを選定する必要があることに加え，必ずしも十分 な感染防御能がないこと等から，アジア，アフリカ等で は依然として常在の状況にある.一方，口蹄疫と並び称 される牛疫については，長年の防疫努力が実を結び 2001年，ケニアの最終発生報告を経て，天然痘に次ぐ 人類二番目の世界的撲滅を，OIE (国際獣疫事務局）が 2011年5月に，FAOが同年6月に宣言した.このことに留意してロ蹄疫をめぐる近年の事情をみる と，ロ蹄疫防疫にとって次のような明るい材料が出てき ている.