国際的な自然保護制度を対象とした国内ネットワークの比較研究一世界遺産条約、ラムサール条約、ユネスコMAB計画、世界ジォパークネットワーク一

摘要

本稿は、特集のテーマである「ユネスコェコパーク持続可能社会を実現するための実効性のある制度を目指して」 を念頭に置き、我が国のユネスコェコパークが実効性の高い制度として発展するために必要な方策について、同様の国際的な自然保護制度との比較分析から論じるものである。本稿では、ユネスコェコパークが依拠するユネスコMAB計 画と同様のサイトベースの国際自然保護制度として、世界遺産条約、ラムサール条約、世界ジォパークネットワークを 取り上げ、サイト間の情報共有や相互交流、普及啓発を担う国内レベルのネットワークがどのような形で管理運営され ているかに焦点を当て、論じる。それぞれの国內ネットワークとして、「世界文化遺産」地域連携会議、ラムサール条 約登録湿地関係市町村会議、日本ジォパークネットワーク、ユネスコェコパークネットワークを取り上げ、各ネットヮ ークの事務局体制、入会資格、会費制度、実施事業等を比較分析する。とりわけ、1989年から25年に渡り活動してい るラムサール条約登録湿地関係市町村会議、2009年に発足し、活発な活動で知られる日本ジォパークネットワークに ついて詳細に論じる。比較分析の結果から、ユネスコェコパークがより実効性の高い制度として発展するために、1.サ ィト、自治体の主体性及びネットワークの独立性を重視すること、2.実施事業を充実させること、3.ユネスコェコパー クネットワークの事務局体制を強化すること、4.1から3までを実現するために、入会資格と会費制度を検討すること、 の4点を提言する。