シンポジウム「クローナル植物の適応戦略」参加レポート

摘要

クローン成長の適応的意義を明らかにするために、クローナル植物の成長や生存に寄与する性質の機構および意義を解明しようとする一つの大きな流れがこれまでにはあった（e．g．van Groenendael and de Kroon 1990）。 親ラメットから子ラメットへの資源の分配や、物理的に連結するラメット間での同化産物、栄養塩、水、ホルモンなどの物質や情報のやりとり（生理的統合：physiological integration）などもそのような性質の一つである。 ここでは、個体あるいは個体間レベルで生じるこれらの現象におもに焦点を絞った上で、本シンポジウム中の二講演（斎藤民ら、西脇民ら）に対する感想を述べ、さらに近年の生理的統合に関する報告例を幾つか紹介したい。