認知課題および暑熱負荷による動的脳血流自動調節能への影響

摘要

脳血流量調節には様々な要因が関与するが、その一つである自動調節能（CA)はある一定の範囲の血 圧であれば脳血流を一定レベルに維持する機能である。血圧は1拍ごとに変動しており、運動などの刺 激で大きく変動する。脳血流量も瞬間的には血圧の影響を受け、脳血流量は一時的には変化するが、あ る一定の範囲内に収束するように自動調節される（動的脳血流自動調節：DCA)。脳活動を伴う刺激を与えられると脳血流は一過性に増加するが、認知課題時のような脳活動による DCAへの影響は不明である。また、暑熱負荷による体温の上昇に伴い、脳血流量は低下することが知ら れている。高体温時には頭がボーつとするというような症状がでることが知られており、認知機能も低 下することが報告されていることから、両者による複合的な刺激がDCAにも影響する可能性も考えら れる。本実験では、暑熱負荷時の動的脳血流自動調節を周波数解析により評価するとともに、認知課題 時の脳活動に対する脳血流調節の影響を検討した。