鹿児島県薩摩半島に分布する海食崖の表層崩壊跡地における 木本植生の遷移と表層土の発達

摘要

鹿児島県薩摩半島に広く分布する海食崖では これまで，表層崩壊がたびたび発生している(Shimokawa, 1984 ；下川ら.1989)。表層崩壊と は.急斜面の表層を構成する表層土 （A層，B層 およびC層の風化部分）if,弱風化のC層や基盤 岩を境に崩落する現象である（Shimokawa, 1984 ； 下川ら，1989 ； Trustrum and Derose, 1988 ： Smale et al., 1997 ：塚本,1998)。この表層崩壊は，豪雨 だけでなく ，表層土を覆う樹木が強風で揺すられ， 斜面の崩壊に対する抵抗力が低下することによつ ても発生している。表層崩壊によって，表層土と それを覆う森林が消失した海食崖では，飛砂防止. 飛塩防止.防風および津波防止などの森林の防災機能が低下した。これに伴い.海食崖の内陸側に 位置する農地では，飛砂および飛塩による農作物 の被害が多発した。