低採胚成績牛における大卵胞吸引除去とEstradio117β投与後の過剰排卵誘起とその複の採胚成績に及ぼすGn－RH製剤の投与効果

摘要

黒毛和種の低採胚成績牛を対象として、連続採胚の効率化と採胚成績の向上を目的として、以下の試験を実施した。 先ず、膣内装着タイプの持続型黄体ホルモン製剤（CIDR－B）を用いて、発情周期の同期化を図り、その6日後には、主席卵胞の可能性が高い大卵胞（8mm≦）を経膣的に吸引除去する（大卵胞不在個体は観察のみ）と同時に、Estradiol17β(E_2）製剤を投与し、その後の卵巣内卵胞の動態について調査した。併せて、発情誘起後の人工授精前におけるGn－RH製剤投与の採胚成績に及ぼす影響について検討した。 大卵胞吸引除去とE_2投与を実施した4日後には、小卵胞（2－4mm）数の有意な増加（13．0±3.5個→17．1±3．3個：1．32倍）（p＜0．01）が見られた。 一方、大卵胞（1．1±0．9→0．1±0．2）および中卵胞（0．9±0．9→0．1±0．5）共に有意（p＜0．01）な減少が見られ、卵巣中の小卵胞占有率が、87．2％から98．8％まで上昇した。 Gn-RH投与の効果については、推定黄体数に差は見られないものの、採取胚数で無投与区に対し投与区で若干の改善傾向が見られた。 よって、推定黄体数に対する採取胚数め割合を示す有効排卵割合セは、無投与区（27．7％）に対し投与区（54.7％）で有意（p＜0．05)に高くなった。なお、採取胚の品質に対するGn-RH投与の影響は見られなからた。