牛の人工授精における受胎率向上にむけて

摘要

わが国では、乳用牛および肉用牛のほぼ100%が凍結精液を用いた人工授精によって繁殖してい る。このような状況の中、近年、牛の受胎率が低 下している。受胎率の低下は、空胎期間の長期化 につながり、生産性を低下させ、農家の収益に直 接影響する大きな問題であり、その解決が急務で ある。しかし、牛の受胎率低下にはいろいろな要 因が複雑に関与しており、まず、その要因を抽出 し、それらに対する明確な対策を考えた上で、生 産現場で活用できる技術を確立しなければならな い。筆者らは、受胎率低下の原因を明らかにする ため、和牛繁殖農家、家畜人工授精師, 獣医師を 対象とした人工授精および受胎率に開するアン ケ一ト調査を実施し、その結果を報告に取りまと めた"。その中で、飼養環境と種付きおよび発情 兆候の良否との関係について検討し、飼養頭数、 繋養方法、粗飼料自給の程度と種付き、発情兆候 についての意識に特定の傾向が見られることを報告している。