凍結保存　ヒト配偶子、胚

摘要

1952年Polge＆Rowson（英国）によってグリセリンを用いた超低温下でのウシ精子の長期保存法が初めて開発された。凍結保存はヒトの分野においても生殖医療の進歩とともに多大な貢献をしている。1953年にはヒト精子凍結法が報告され、1958年には日本で凍結保存精液による非配偶者間人工授精により、児が得られている。1980年代には胚、卵子の凍結、融解後の出産も報告されている。その方法は緩慢凍結、急速融解法が主体であった。1990年代後半にガラス化法による妊娠、出産報告がされているが、技術的に未熟で、生存率も満足できるものではなかった。2000年代に入って、ガラス化法の生存率が95％以上になり、ガラス化法の技術が確立されたと言って良い。生殖医療の分野では主に多胎妊娠防止や卵巣過剰刺激症候群重症化防止のために余剰あるいは全部の胚を凍結保存している。