低臭納豆の開発

摘要

納豆の臭気成分として短鎖分岐脂肪酸が関与しているのではないかと考え，関係酵素の遺伝子学研究の結果から，臭気の少ない数珠の組換え株が得られた。 しかし，現時点では組換え菌株の製品化は禁止されている。 そこで短鎖分岐脂肪酸生産酵素を生産しない株を，NTG変異株の中から分離し，低臭納豆製造の企業化に成功した例を解説していただいた。 納豆にはビタミンK2，イソフラボン，大豆タンパク等々，いわゆる健康機能をもっている成分が多く含まれる1）。 そのため，納豆は健康食品的な色合いが強い食品となりつつある。 かつて納豆は，関東，東北地方を中心に食されている地方色のある食品であり，近畿地方を中心とした西日本では余り食されていなかった。 しかし，納豆は健康食品の代表格として近年の健康ブームに乗り市場を拡大しており，現在では全国的に食されるようになってきている。 とは言うものの，現在でも西日本における納豆消費量は東日本に比べて多くはない。 西日本で納豆消費が増えない理由は，もともと食べる習慣がないということもあるが，納豆のネバネバおよび独特の臭いが敬遠されているためと一般に考えられている。