北東北地域におけるフェス卜口リウム（X Festulolium Braunii) 「東北1号」の耕作放棄水田跡地への導入適性

摘要

近年.我が国では耕作放棄地の増加が全国的な問題となつ ている力5,北東北地域もその例外ではなく.現在，青森県，岩手県，秋田県の3県合わせた販売農家所有の耕作放棄地は1.5 万haにも上っている（農林水産省大臣官房統計部2013) o 耕作放棄地の活用方法として飼料生産への利活用が要望され ているものの.北東北地域における耕作放棄地の約50%は 水田転作地（農林水産省大臣官房統計部2013)であり，土 壌水分が高く ，泥濘化しゃすいなど不良な環境条件にある場 合が多い。一方，東北地域の基幹草種はオーチャードグラス (Dactylis glomerata L.)であるが,この草種は耐湿性力低く (的場ら2001;米丸ら2004, 2007),このような土地条件に は適さない。また，水田転作作物として全国的に広く利用さ れてレ、るイタリアンラ1クラス(Lolium multiflorum Lam.) は越冬性が弱く ，寒冷積雪地である北東北での栽培が難しい。 このような現状をふまえ.東北農業研究センターでは.北東 北地域の耕作放棄地への導入を想定した採草利用向けフェス トロリウム(xFestulolium Braunii)新品種「東北1号」を 開発し，2009年に品種登録出願を行い（米丸ら2011), 2013 年に種子販売が開始された。